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雑誌『医薬経済』
  • 2017年
    03月15日号
  • ■免許剥奪≠フ矢面に立つ医師の苦悩
  • ■亀田一族が市長選で骨肉の争い
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BEHOLDER

Beauty is in the eye of the beholder .
日本語で言えば「蓼食う虫も好き好き」。直訳すれば「美は見る者の目の中にある」。人それぞれによって物事の見方は異なります。さまざまな方々から、さまざまな視点・論点を示していただくことで、「話題」となることをめざします。

【今週の提言】

それは“現状維持バイアス”ではないのか?                        

「それは“現状維持バイアス”ではないのか?」というやりとりを社内でよく耳にするようになった。よい傾向である。「〇〇できない」というのは“勘違い”であり、現状維持バイアスである、とマインドをセットすることにより、現状を打破する風土が広がる。

 以前にも取り上げたが、現状維持バイアスとは、変化をするほうがメリットが大きい場合においても、現状を維持しようとする心理状態のことだ。

 3月18日に都内で開催された「MR-1コンテスト2017プレセミナー」で講演した杏林大学医学部付属病院薬剤部の若林進氏は、“ヤフーニュース”やPMDAのメディナビよりも情報提供が遅いMRの存在意義に疑問を呈した。

 同病院を訪れる300人を超えるMRの中で、若林氏が評価するMRは20人程度だという。評価するMRの共通点は情報提供が早いこと。優秀なMRは「明日、この件について報道されます」と自社製品のネガティブ情報を伝える一方、残念なMRはメディナビからブルーレターを受信した3日後にMRが訪問してくるケースもあるという。「せめて第1報は電子メールでお願いします」と若林氏は訴えていた。

 なぜ、ブルーレターのような情報でも「まずはメールで」とならないのか。ひとつは想像力の欠如だと思う。情報の提供が遅れて、患者さんから「私が飲んでいる薬で何があったの?」と聞かれたり、医師から「今朝の新聞にこんなことが書いてあったけど、どういうこと?」と聞かれることは、若林氏のようなDI室に勤務する薬剤師の評価を低くすることにつながる。「うちのDI室は使えない」と言われてしまうかもしれない。相手の仕事を考えながら仕事ができる人間と仕事がしたいと思うのは、どの業界でも同じだろう。

 対面に固執するもうひとつの理由は「会って説明しなければならない」という“現状維持バイアス”が根強くあるからではないか。

 相手の業務を考えて、会って話すほうが喜ばれるのか? それともまずはメールで情報を提供したほうが喜ばれるのか?。会って話さなければいけないという考えは、現状維持バイアスではないのか?

 あなたの職場でも「それは“現状維持バイアス”ではないのか?」というやりとりを流行らせてほしい。 

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川越満(かわごえみつる)1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。 

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